設立にあたって
日本の理数教育をサポートする。
石油資源をはじめ金属鉱物資源に乏しい我が国が第二次世界大戦の後に奇跡的な復興を成し遂げ,GDPで世界第三位の経済大国にまで至った要因として国民教育の水準の高さや勤勉で誠実な国民性があげられます。
その背景として,近代文明への扉を開いた明治維新より此の方,「ものづくり」の基盤となる理数教育の果たした役割は計り知れないものがあります。
我が国は「科学技術創造立国日本」を標榜し,その矜持を持って久しく世界に喧伝してきました。しかし,ここ近年は中国・韓国をはじめとするアジア諸国の猛追を受け,科学技術の面においてかつての栄光が消え去るのではないかと危惧されています。学校教育においても,児童・生徒・学生たちの学力低下とともに「理数離れ」が指摘されています。
当財団では将来に向けて数理的知性の資質を持つ人材育成の支援事業や社会貢献事業に取り組み,「ものづくり」文化の再生や「情報化社会」の構築に必須の科学技術の進展そしてその礎となる「理数教育」振興に寄与していきたいと考えています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災と原発事故において現代の科学技術文明への検証や見直しが要請されています。当財団では科学技術が持続可能な開発の実現に寄与していることを実証するための調査・研究やそれに関わる様々な情報を発信していきます。また,理数教育の振興と活性化に向けて,小さいながらも一歩を踏み出し,将来への希望の種を撒き,科学と文明の向上,我が国の発展に寄与・貢献していきたいと念願しています。
理数教育研究所設立によせて
弊社は創業以来,「教育・学習に関する図書の出版を中心として事業を営み,人間教育,人類文化の向上に寄与すること」を事業目的に,教育に関する出版活動に努めてまいりました。
その中心となる教科書では,現在に至るまで「理数の啓林館」と,皆様方に親しまれ,多大なるご支持をいただいてまいりました。昨今の理数教育への更なる期待の高まりにお応えし,よりいっそう理数教育の振興に寄与してまいりたいと考え,2012年3月に一般財団法人理数教育研究所の設立に際し,寄付行為による当財団への支援を行いました。
わたくしたち教科書・教材出版社の使命として,子どもたちのかけがえのない未来を見つめ,今後とも我が国の理数教育の発展に貢献してまいる所存でございます。
株式会社新興出版社啓林館